最近では瞑想アプリやYouTube、オンラインクラスの普及により、瞑想の練習事情もいろいろと幅を持つようになってきました。…

最近では瞑想アプリやYouTube、オンラインクラスの普及により、瞑想の練習事情もいろいろと幅を持つようになってきました。ご自宅で練習する方も増えてきていますが、実際にご自宅で瞑想をしてみると、練習量やタイミングをどうしたら良いのかなど、瞑想のやり方がわかったものの、どう練習するかがよくわからないと言った疑問や質問を頂くことも多くなってきました。時代も変わったものだなぁと感じる今日この頃です。

 また、プログラムの体験会やクラスにご参加頂いた方々からは「先生は日頃どのような練習をなさっていますか?」といったご質問をいただくことも多くなりました。瞑想指導者が日頃どんな練習をしているかについても興味を持っていただけるような時代にもなったようです。(繰り返しますが、)本当に時代が変わったものですね。(笑)

 瞑想の練習スタイルは瞑想家の学んでいる体系や生活スタイルによって大きく異なりますが、今回は一つの例として私自身の毎日の練習や瞑想の学び方についてご紹介してみようと思います。

 私の日々の練習は、大きく分けると①瞑想を実際に行うこと、②仏教哲学・仏教心理学を学ぶこと、③実践と勉強を統合すること、の3つをバランス良く行うよう気を配っています。それぞれどのように行なっているか少し詳しく書いて見ます。

①瞑想の実践

 瞑想の実践は、実際に「坐って」行う練習と「坐ってない時」に行う練習があります。

 坐る瞑想については、まず私の場合、基本のトレーニングとしてシャマタ・ヴィパッサナ(Shamatha-Vipashyana)瞑想を毎日45~60分行います。この瞑想法は英語に訳せば“Mindfulness-Awareness Meditation”と書きますが、文字通りマインドフルネスとアウェアネス(ヴィパッサナ)の瞑想を同時に行なっている瞑想です。マインドフルネで意識をまとめつつ同時に周囲と自分の心の動きを洞察しているとった感じの瞑想で、私が学んでいる瞑想の伝統では最も基礎になる瞑想です。

 この瞑想が終わると、そのまま続けて15分前後のトンレン(Tonglen)瞑想を行います。トンレン瞑想は、呼吸とともにネガティブなものを吸い込み、ポジティブなものを吐き出すというこれも伝統的な瞑想法の一つです。

 さらにここ数年は、先日このブログでも紹介したLojong (Mind-training)も行っているため、上記の瞑想実践に加わえて、毎日一つの心に向き合うスローガンについて、「熟考する瞑想」を5-10分続けます。

 このように私の場合は、シャマタ・ヴィパッサナ瞑想、トンレン瞑想、熟考する瞑想をセットで毎日行います。合計で大体90分前後です。

 そして坐らない方の練習、ポストメディテーション(postmeditation)と言いますが、瞑想していない間は、シャマタ・ヴィパッサナ瞑想によってしっかり働いている自身の五感や、思考の動き、感情の変化について1日意識を向けつづけることをします。それに加えてトンレン瞑想で行う、良いものを吐き出して悪いものを吸い込む呼吸を終日意識して行います。さらにその日に熟考をしたロジョンのスローガンも忘れないように意識を持ち続けていきます。これがポスト・メディテーションの練習です。ポストメディテーションは、ある意味24時間がトレーニングと言ってもいいかもしれません。

 また、こうした毎日の練習に加えて、週に1、2回のMahamudraの勉強の一環としてSadhana(サダナ)というトレーニングを行っています。これはチャンティングの一種で、チョギャム・トゥルンパ・リンポチェが書き残した文章を朗読していきます。これが大体一回45-50分と行ったところです。さらに、これに加えマンスリーベースで2-3時間のシャマタ・ヴィパッサナ瞑想を集中的に坐る時間を取るようにもしています。

② 理論の勉強

 私たちのような瞑想家、あるいは瞑想指導者は、ただ坐っているだはなく、なぜ瞑想を行うのか、そして瞑想の対象でもある心や世界のあり様とはどういったものなのかについてもしっかり学ぶ必要があります。特に私が学んでいる瞑想の伝統では、勉強50%、練習50%のバランスで進めていくのが鉄則と教育されますので、日々読書や勉強を欠かすことができません。私の場合は瞑想実践に加えて、毎日2時間以上は学習時間を取るようにしています。

 私が最も基本にしているテキストは、チョギャム・トゥルンパ・リンポチェの『The Profound Treasury of the Ocean of Dharma』です。このテキストをここ10年以上毎日繰り返し読んでいます。このテキストは、Hinayana (小乗)、Mahayana(大乗)、Vajrayana(金剛乗)にテーマが分かれている三部作です。結構なボリュームがありますが、繰り返し読むたびに新たな発見があり、全く飽きることがありません。

(The Profound Treasury of the Ocean of Dharma)

 また、毎日のロジョンの実践があるために、ロジョン関連の書籍を1日1度は手に取ります。中心的なテキストとしては、トゥルンパ・リンポチェが残したロジョンの解説書である『Training the mind』(心を鍛える)という本を辞書さながらに使い続けています。そのほかにトゥルンパ・リンポチェの兄弟子のDilgo Khyentse リンポチェのテキストや、伝統的なテキストとしてChekawa Yeshe Dorjeの「The Root Text of the Seven Points of Training the Mind」も同様に日々見比べています。


(Traing the mind )

 さらに最近は、これらに加えてMahamudra(大印)という、いわばさらに細かく心の動きを見ていく伝統的なトレーニングに取り掛かりつつあるため、そのテキストであるThranguリンポチェの『Essential of MAHAMUDRA』も毎日少しずつ読み進めノートにまとめると言ったことも並行して行っています。

 また、その他にも暇を見つけてはいろいろなテキストを時間を見つけては読み進めています。チョギャム・トゥルンパ・リンポチェの本だけでも70冊を超える著書があるため、常に4ー5冊のテキストを並行して読み進めています。日々時間がいくらあっても足らないといつも感じています。ひたすら読み続けてる毎日です。

③ 指導者や練習仲間とのコミュニケーション

 毎日しっかりと瞑想実践を行なって、さらに毎日しっかり勉強を積み重ねたものを最後に統合して自分の理解を安定させる時間が、自分の先生や練習仲間とのコミュニケーションです。これも瞑想を学び身につけていくために必要不可欠な時間です。

 私の場合は、まず、私の先生であるディビッドに月に1、2回、瞑想に関したことだけを2人で話す時間を必ず作ってもらうようにしています。デイビッドと私は、瞑想の師弟関係だけではなく、ビジネスパートナーであり、友人であり、もはや家族のような関係で1-2日毎に連絡を取り合っていますが、そうしたコミュニケーションとは別に、あえて瞑想だけ話す時間を作っています。その際には、余計なことを話さず、瞑想の技術的、論理的な議論だけをします。それによって私の頭の整理というか、理解を深めたり、感覚を確認したりしています。

 さらに、真面目な瞑想話とは別に、私自身の練習として、なるべくデイビッドと共に過ごす時間を作るようもにしています。食事を共にしたり、一緒に海で泳いだり、買い物に行ったり、旅をしたり、そうした普通の生活の中でのデイビッドの日々の振る舞いや暮らし方全てが、私が向き合っている瞑想の本質を学ぶ機会になるからです。

 日常のちょっとした出来事が起こる度に、ディビッドは彼の師であるトゥルンパ・リンポチェから同様の出来事があった際に彼がどんなことを言われたのかを私に伝えてくれます。まるで父親からお祖父ちゃんの話を聞いてるような感じがいつもしていますが、こうした話こそが、瞑想実践中で向き合っている「心」を観る際のとても重要なヒントになります。

 こうした自分の先生とのコミュニケーションに加えで、練習仲間とのコミュニケーションも意識的に時間と機会を作っています。これも非常に大切な練習です。最近では毎週1度、2時間にわたって、世界中のデイビッドの生徒たちが集ってのオンライン勉強会を行なっています。同じ勉強と実践をしているもの同士がお互いにディスカッションをすることで、自分にはない新しい視点で自分の勉強や練習を振り返ることができます。

 そしてこの勉強会には、デイビッド同様にトゥルンパ・リンポチェから直接指導を受けたディビッドの兄弟弟子たちも一緒に参加してくれて、さまざまなアドバイスをくれます。例えば、トゥルンパ・リンポチェと共に、チベット語テキストを英語に翻訳をし続けたLarry Mermelsteinやマインドフル・リーダーという著書で有名なMichael Carrolなどが、我々のDharma Uncle (ダルマおじさん)として、デイビット同様彼らがトゥルンパ・リンポチェと過ごした時の逸話をたくさん話してくますし、Open hear Projectで世界的に有名なSusan PiverがDharma anuty(ダルマおばさん)として、Lojongのアドバイスをしてくれています。

 以上が私の瞑想の練習と練習環境です。自分で言うのもなんですが、ちょっと濃いめかもしれません(笑)。あくまでもこれは私の個人的な向き合い方ですので、誰しもがこうしなければいけないと言うことではありません。これはちょっと極端な例だと捉えてください。

 気軽に瞑想に取り組むのであれば、1日15分から20分のマインドフルネス瞑想で十分に心的にも身体的にも効果が出ていきますので、私の様なアプローチは必要は全くありません。毎日少しずつ瞑想に触れて見てください!

河津祐貴
True Nature Meditation
Founder / Program Director