ここのところロジョンに関する記述が多く、何やら小難しいことが続いてますので、今日...

 ここのところロジョンに関する記述が多く、何やら小難しいことが続いてるので、今日は基本に戻って、マインドフルネスに関して書いてみようと思います。今回は特にマインドフルネス・メディテーションを行う時のコツというか、感じていただきたい感覚の一つである「柔らかさ」について書いてみます。

 まずは、ちょっとここで、ため息をついてみましょう!
 はぁーっと息を吐いてみてください!

 はぁーっとため息をつくと、体の力が抜けて、体も気持ちも柔らかくなって、お尻が椅子なり床にどっしりと落ちて安定した感じがわかると思います。実はこの感覚がマインドフルネスではとても重要なのです。

 メディテーションをしている時、吐く息に意識を乗せて坐っていると、そこには柔らかく、ホッとした感じがあります。私はクラスで、この感覚を露天風呂に入ったような感じと喩えたりしています。どこか景色のいい、素敵な露天風呂の湯船に入って腰掛けた瞬間、はぁーっと息を吐きつつ、体と心が柔らかくなりますよね?

 まさにマインドフルネス・メディテーションでの吐く息は、ふーっと鼻から吐きつつ、体の力が抜け、お尻がクッションの上や床にしっかりと乗っかる感覚があリます。チョギャム・トゥルンパ・リンポチェは、この時の感覚を、『全身がゼリーのようになっている感じ』と表現したりしていますが、まさにそんな感じで、良い姿勢を保ち、体の外側はしっかりとしていながらも、内面はとても柔らかくなっている感じがあります。そのように坐って、柔らかさを感じている時、私たちは、心の中の優しさを感じ始めます。それはとても大切な感覚です。

 この柔らかさに関しては、注意をして頂きたいポイントがあります。それは「柔らかさ」と「緩さ」の違いです。「柔らかさ」の感覚は、ある程度の規律が必要で、ただ「緩い」わけではありません。坐ってメディテーションをしている時には、姿勢をしっかり保持して、良い姿勢で座ることが必要です。そうした凛とした姿勢の中で、柔らかく呼吸をして、柔らかく思考に触れる訓練を通して初めて感じられるのがこの「柔らかさ」です。

 ただ単に緩み切って、姿勢も崩れ、寝転んでしまったり、思考や感情を野放しにして、ぼーっとしていてもこの感覚は訪れません。メディテーションで感じる柔らかさは、一般的なリラクゼーションとはちょっと異なります。あえていうなら「凛とした柔らかさ」なのです。まさにゼリーのように中は柔らかくても、しっかり形が保たれてお皿の上にあるような感じです。溶けて形が崩れてしまっているわけではありません。凛とした規律の中にある柔らかさがポイントなのです。

 こうした柔らかさは、実はいつも私たちの中にある本質的なものです。誰もが必ずもっているものでもあります。しかし、日頃忙しい生活送っているとこの感覚を感じることが難しくなります。あれやこれやに心を囚われて、イライラしたり、緊張していると心も体も固くなり、まったくこの柔らかさに気がつきません。心と体を固くしている原因の多くは、エゴが作用しすぎているときで、特定の思考パターンにはまっている時です。(このエゴのシステムを説明し始めるととても長くなるので、このあたりのことは別のブログで紹介します。) 要するに、エゴの作用が強く機能して、自分中心のものの見方や考え方に捉われると、心と体が硬くなっているのだなと理解してもらえば良いかと思います。
 
 マインドフルネス・メディテーションは、こうした過剰な自意識/エゴによる緊張や焦りや心配事で固くなった心を、吐く息で溶かしてしまいます。練習を続けて、何度も何度も吐く息で、固まった体と心を溶かすことを続けていくと、自分はもともと柔らかく、充足感があり、自分自身はそんなに悪いものではないことを感じとります。最近は自己肯定感という言葉をよく耳にしますが、自分を認めるとはこういうことです。理想の自分を探したり、自分を認めるテクニックを磨く必要はありません。ただ自分のあるべき、柔らかな存在そのものに触れればいいのです。そしてさらに、その柔らかさは、自分だけではなくて、周りの人や出来事に対しても向けられることに自分で気がつき始めます。

 こうした柔らかさの感覚が身につけば、職場にいても家庭にいても、いつでも自分が柔らかく、穏やかで、優しさを持って過ごすことがきるようになります。世界にも自分自身にも攻撃的になる理由がどこにもないこともわかり始めます。この優しさや思いやりがコンパッション(Compassion)と言われるものです。マインドルネスは、コンパッションの種を植えているメディテーションでもあるのです。

 このように、マインドフルネスをはじめとしたメディテーションの実践は、自分が持っている自然な柔らかさ、優しさを再確認することで、自分も世界もさほど悪いものではないことに気がついていくためのものです。今日の練習から、少しこの「柔らかさ」を頭の隅に置いて坐ってみてください。また、日常で感情的になったり、心配事に囚われて心や身体が硬くなっていたら、優しく息を吐いてみてください。そこには必ず柔らかさがあります。

これこそが『自分と友達』になる方法なのです。

河津祐貴
True Nature Meditation
Founder / Program Director