読むロジョン / スローガン 29
Jul 07, 2022Slogan 29
Abandon poisonous food.
毒のある食べ物は放棄する。
今回のスローガンは、瞑想や心の修練をしている人たちにとって、とてもパワフルで大切なスローガンです。マインドフルネスであろうと、ロジョンやトンレンといったコンパッションの訓練であろうと、瞑想の実践が自分自身の個人的な達成に基づくものであるならば、それは、自分のエゴ(自我)強化するスピリチャル・マテリアリズム(精神の物質主義)に過ぎないという注意喚起のスローガンです。私の好きなスローガンの一つでもあります。
もし、瞑想や心のトレーニングをすることで、自分が人より優れていたい、自分が特別な栄光を受けたいと考えている時があれば、それは毒です。一生懸命瞑想すれば、人より多く練習して、人より多く勉強すれば、誰よりも優れた瞑想指導者になれると考えているのであれば、それもまた毒された有害な姿勢です。また、自分は瞑想をしていて、人より正しい人生を送っているから、それをしていない人の間違を指摘してもいいと思う態度や行動も、毒を食べているようなものです。そうした傲慢な態度は、その毒によって悪臭を放っています。
瞑想やロジョンが、自己中心性を基に行なわれるとき、それは毒を食べているようなものと言われるわけです。自己啓発、自己改善は、今まで出会っていない新しい『私』に会える魔法の果実のように思えますが、実際に食べると悪臭を放ちます。それは単にエゴを強化しているだけだからです。
日々の瞑想実践を通して、心が明晰で安定してるマインドフルネスの感覚が磨かれ、自分の本来の質に触れることがあれば、私たちは何かが人より劣っていたり、何かを外から持ってきて強化する必要がないことがはっきりとわかります。この力がつけば、何か外の力や魔法を探したりする行為が全て有害で、食べていけない毒物であることが自然にわかはじめます。継続した瞑想練習をした人だけが、悪臭を嗅ぎ分けることができるようになるのです。