オンライン・メディテーション
Apr 06, 2023メディテーションを学ぶとき、オンラインで学ぶか、リアルにスタジオで学ぶべきか迷われる方も少なくないかと思います。実際、私が開催しているクラスでも、どちらがいいのかとよくご質問をいただきます。そこで今回はメディテーションを行う上でのオンラインの有効性について書いてみようと思います。
まず、教師の視点、生徒の視点両方を踏まえて私が感じているのは、オンラインを活用してのメディテーションクラスは、リアルなクラスに比べて98%は有効だと思います。メディテーションのテクニックもしっかりと習得できますし、理論講義も全く問題なく学べると思います。
私のオンラインクラスでも、生徒さん一人一人のお顔を拝見しながら、その時の雰囲気や態度までしっかりと見ることができるので、指導的な側面での不自由を感じることはありません。100名以上が参加するようなクラスなどは、リアルよりむしろオンラインクラスの方が参加者一人一人をよくみることができ、きめ細かくクラスができる感じさえあります。また、理論の講義なども、チャートや資料、さらには動画や音声まで活用できるという点で、オンラインクラスの方がリアルクラスより立体的なクラスを展開できる場合もあります。
一方、私自身が生徒の立場で、ニューヨークのDharma Moonや、ノバスコーシャのOceanでオンライントレーニングを受けていますが、こちらも全く不具合は感じません。しっかりメディテーションも深まりますし、理論の勉強も問題なく進んでいます。また、Davidと私は、Skypeの動画通話ができた当初からビデオ通話でのプライベートセッションを続けていますが、コロナ禍以降のオンラインでのコミュニケーション・システムの飛躍的な発展によって、動画や書籍のシェアが格段に便利になり、学習環境がとても整った気がしています。
ただし、オンライン・クラスが有効に機能するためには、一つ条件があります。それはオンラインであってもFace to Faceでコミュニケーションをすることです。例えばZoomなどでのメディテーションクラスを参加する場合は、生徒側の画面がOFFになっている場合はその効果が大幅に失われてしまいます。
私たちの伝統には『トランスミッション』(伝達)という表現があります。教師と生徒の心の間の率直で直感的なコミュニケーションのことを言います。メディテーションのクラスにおいて言葉や資料を見る以上に一番大切なのは、私たちの身体的な存在感覚と、それに伴った心的状態を教師と生徒がお互いに確認することです。
例えば、TNMのティーチャートレーニングの中では、『瞑想教師の一番重要な仕事は「今」そこに「在る」こと体現することだ』と教えます。また、教師はクラス中に、生徒が「今」にいるのか?いないのか?というポイントを常に確認するように指導します。それはメディテーションをしている時も、理論の講義を受けている時も、いつでもです。もし生徒が、「今」にいなければ、「今」にいられない精神的な状態をよくみていきます。そして、その時の状況にあった適切な指導を行うように訓練していきます。教師はクラスで話す内容、メディテーションのテクニックで強調する部分を調整しながら「活きた」クラスを展開しているのです。
メディテーションのクラスは、教師と生徒のコミュニケーションを基軸に行う必要があるので、オンラインでもリアルクラスでもそれは変わりません。片側通行ではメディテーション・クラスは成立しません。True Nature Meditation ティーチャートレーニングでもオンライン参加はOKですが、すべてライブでの参加が義務つけいるのもこれが理由です。録画ビデオでの受講、ライブクラスで画面を閉じて生徒の状況が確認できなければ、正しくコミュニケーションできず、メディテーション指導も成立しないからです。
このようにオンラインクラスは、適切に運用されれば、その効果はほぼリアルクラスと変わりません。文頭に「98%は有効」と書きましたが、2%の不足分は、やはり生身の身体がある空間で一緒にメディテーションをすることで伝わる感覚の部分です。まだこれは完璧にたつえるテクノロジーは今年(2023年)の段階ではまだありません。これからに期待する部分でしょう。
以上のことから、私が最もお勧めするメディテーションクラスの受け方は、オンラインとリアルのミックスです。例えば、日頃のクラスはオンラインを十分に活用し、たまの休みなどで時間がある時には、教師や練習仲間がいるリアルな空間でメディテーションやディスカッションを行うというのが、私の経験上一番効果的な気がします。実際、この十数年、私とDavidで続けられている練習は、オンライン9割、リアル1割くらいです。私もDavidも全く問題を感じていません。
TNMでも生徒の皆さんの半数は、北海道から沖縄、さらには海外といった東京から離れた場所にお住まいで、日々オンラインを活用してクラスに参加してくれています。そして、たまのお休みなどに千駄ヶ谷のスタジオに顔を出して、教師や生徒同士でコミュニケーションをとっています。そうしたメディテーションとの向き合いで、しっかり皆さん成長してくれています。
ここ数年の生徒の練習状況を見ていると、オンラインクラスの方が、出勤前や仕事帰りに自宅から気軽に参加でき、気負ってスタジオに行く精神的負担がない分、かえって練習頻度が上がる効果もあるように思います。
ぜひ皆さんもテクノロジーを有効に使って、メディテーション・プラクティスをより身近にしてみてください。ただし、決してトランスミッションの重要性は忘れないように!相互コミュニケーションのないメディテーションクラスは、まさに「画竜点睛を欠く」です。