読むロジョン / スローガン21
May 11, 2022Slogan 21
Always maintain only a joyful mind.
常に喜びの心だけを保持する。
「常に喜びの溢れた心だけをもつ」とは、人生の中で波乱や問題があっても、常に充足感と喜びを持ち続けること指示しています。
今ままで紹介したスローガンにもありますが、ロジョンでは基本的にどんな不幸や障害も、私たちの心のトレーニングの糧になると考えます。周りの人の災難も同様に大切なものであって、その災難を自分に取り込んでしまうことができるのです。そして、そうした時にも喜びを感じることができます。
「喜び」という言葉に抵抗があれば、「良い気分になる」「充足感がある」と考えれば馴染みやすいかもしれません。「良い気分」とは、自分の欺瞞やダルマの重厚さや思念に圧迫感などをある意味で諦めた時の根本的な感覚をいいます。実際、私も瞑想を始めたばかりの頃、「喜び」という言葉に少なからず抵抗がありました。瞑想をした先に喜びを感じるとか、ロジョンや六波羅蜜の実践の根底に喜びがあるとか言った具合に出てきますが、「どうも宗教くさくて、嫌だな」ことを覚えてます。
しかし、瞑想を淡々と続けて、マインドフルネスとアウェアネスを磨き続け、さらにトンレン瞑想やメッタ瞑想なども複合して練習し続けると、この「喜び」は瞑想を通して常にあることを感じるようになりました。最初は喜びと思うと、どうしても何か感情的な昂りがあるようなイメージしがちですが、マインドフルネスを練習すると、徐々に自分の中にある柔らかさや優しさがあることが次第にわかり始めました。さらにその柔らかさや落ち着きを持って家族や友人や、毎日の出来事に向き合うと、それらが自分にとって唯一無二で貴重なのかに気がつきます。そうした感覚が磨かれると、自ずとそこに感謝の気持ちもあることがわかります。このような柔らかさや優しさ、感謝などを一言でまとめれば「喜び」と表現されます。宗教的恍惚感や、嫌な出来事から目を背けるためのトランスとは全く異なる意味なのです。
瞑想をで喜びに触れ始めると、ロジョンの実践や、ポストメディテーションの実践にも、同じような感覚があることに気がつき始めます。こうした全体的な経験を通してダルマを学び、ダルマを実践することは「喜び」があることがわかり始めていきます。
喜びの感覚は、これがマハヤナの実践を続けていく上で、明るさや軽やかさをもたらしてくます。私たちの本来の性質であるブッダネーチャーまたはタターガタガルバの現れと考えられる物なのです。「常に喜びの心だけを持ち続けよう」というスローガンは、人生の中で起こる小さな問題でも大きな問題でも、充足感と喜びをもち続けていきくということです。どんな不幸でも困難でもダルマを実践する励みになるのです。そして自分の困難だけでなく、周りの人たちの災難も共有し、それを自分に取り込んでいけるのです。そうした事が喜びであり、実際に気分の良いものだと教えてくれているのです。