読むロジョン / スローガン8
Apr 12, 2022Slogan 8
Three objects, three poisons, and three seeds of virtue.
三つの対象、三つの毒、そして三つの徳の種
前回のスローガン7で、トンレン・メディテーションを始めたら、このスローガン8からそのトンレンを活用してより具体的に身の回りにの人たち、生き物たちに思いやりを届ける練習、相対的なボーディ・チッタのトレーニングに入ります。
まず、今回のスローガンで言われている「三つの対象」とは、好ましい人、嫌いな人、そして、そのどちらでもない人をさします。味方、敵、中立と言ってもいいかもしれません。
そして、「3つの毒」は、情熱・攻撃性・無知の三つをあらわします。この毒は、もともと落ち着いていて明晰な、わたしたちの心を混乱に導く毒であると考えられています。もっと身近な表現で言えば、情熱は、人を惹きつけたい、何かを所有したいと思う「執着」のことで、攻撃性は、「怒り」のことで、排除、拒絶の感覚です。さらに無知は、興味がない、気にしないという「無関心」な状態と言えます。
さらに最後の「三つの徳の種」とは、3つの毒に冒されていない状態、すなわち執着がない、攻撃性がない、無知・無関心ではないといことです。
このスローガンは、この3つの毒に自分の心が毒されていると感じたら、すかさずトンレンをしなさいということです。
たとえば、もし誰かに怒りを感じたら、それをその相手に向けるのではなく、その怒りを完全に自分のものとします。そしてさらに、その相手が怒りや攻撃性を含んだ心の状態から解放されることを願うようにしていきます。
執着や無関心を感じたら場合も、同じように、その心を毒して、わたしたち自身と周りの人々を混乱に陥れているいる執着や無関心を相手に向けず、自分で取り組み、そして相手がそうした毒された混乱と関わらないことを願うのです。
もし、誰かに怒りを感じたときに、その怒りをその対象に向けるではなく、自分の中に留めて、それに取り組むと、面白いことが起こります。その怒りは怒る対象を失ってしまうので、その攻撃性を維持できず、自己崩壊を起こすのです。怒りを感じ時には、相手に怒りを向けずにすかさずトンレンをします。怒りを自分で吸い込み、相手に優しさや柔らかさを向けたら、そのとき自分は何に対して怒っているのかがもうわかりません。この練習で自分や他人を毒してしまっているものを、思いやりや愛情の種に変えていきます。これを徳の種と呼びます。
スローガンの8つ目にして、すでに少しハードルが高い練習のように感じるかもしれませんが、ぜひ日常の中で取り組んでみてください。そのためにもしっかりスローガン7で紹介されているトンレンを学び、実践をしてみましょう。